建築CGパースの価格について

餅は餅屋_戸建ては戸建てに慣れたパース屋さん

ここに価格表を出したいのですが、同業他社との価格競争を過激にするだけなので、未だ弊社ではインターネットには価格表は出さないでおりますm(_ _)m

あまりにも価格が下落すると食べて行けなくなりますから(汗)

価格と言いますと、マンションは 例えば 100世帯ですと、パースが2~3点程度(外観パース・エントランスパース・エントランスホールパース)の予算が出ます。100世帯で割れば安いものです。が、一戸建てですと、最小は1世帯で1点のパース制作の場合もあります。もちろん土地に魅力があり、青田売りできる現場は販売促進用にパースを制作する必要も無いのでいいですが、やはり1世帯でもパースが必要な現場もあります。ですが1世帯で1点ですと、予算がね~(汗)。。

一昔前は、大手パワービルダーは多棟現場しか動かさないような風潮もありましたが、昨今ではちょうどいい土地も減ったのか、大手パワービルダーでも1棟の現場を多く手がけるようにもなったようです。1棟現場とかだと手数が増えてしまい、採算を合わせるのも大変になります。しかも現在は東京近郊の一戸建ても価格が落ちはじめているような話しも聞きます。つまり、パースに当てられる予算もさらに少なくなって来るという訳です。

7棟前後の多棟現場であれば、まだパースに予算も出るでしょうが、1棟現場だと予算も厳しい。そして大手のパワービルダーがどんどん土地を押さえて安い価格で売りさばいていく中、小規模の建売戸建屋さんは価格競争も大変になります。

そこで、「販売広告に使えるパースを、出来は要求しないがとにかく安く製作してくれるパース屋さんを探す!」・・・という 建売戸建屋さんや、「販売広告に予算を奮発して、値が張ってもいいのでレベルの高いパース屋さんを探す!」という事を考える建売戸建屋さんの2通りの考え方でパース屋さんを探す事になると思います。二極端化ですね。

そこで間違えてはいけないのは、今までマンションを主流でやっているパース屋さんに、マンションの外観やエントランスの画像を見せられ、「お~いい感じ!」なんて感じで発注することです。マンションと一戸建ては色々なところで違います。

例えば樹木はマンションはもっさりした植栽を入れて、建物が少し隠れて見えなくなってもマンションの大きさに対して植栽は小さいので問題ありませんが、そのような感覚で一戸建てに植栽を入れると、建物がかなり隠れてしまいます。それでは販売に良い効果は得られません。一戸建てならシャラやトネリコの株立ちの木を入れて、建物が葉の隙間から見える感じにしたほうがいいですし、玄関も見えるようにしたほうが購買意欲を掻き立てられると思います。

他には、昔の手描きの時代からそうなんですが、マンションは寒色を使い、正面と側面のコントラストをバッチリ付けインパクトを出します。もちろんデザインにもよるので一概にはには言えないですが、戸建はなるべく暖色を使い、正面と側面のコントラストはあまり付けず、屋根やデザインでコントラストを付けて、絵のインパクトと家族団らんの温かみを表現します。

他にも色々と違うところがありますが、ノウハウでもあるのであまり書くのは控えます。。マンションしか手がけていないようなパース屋さんが描いた一戸建てのパースは、やはりマンションと同じような描き方になっているところが多く「??」と思うところが多いですね。

ただ、最近の大手デベロッパーが手がける多棟現場のパースでは、そのようなマンションのような仕上げ方のパースが増えてきたので、世間一般ではそれが”良いパース”という風潮が出来てくるのであれば、我々もそれに追随するしかありません。が、本来はそのような仕上げ方は「?」な感じなのです。

一戸建てに強いパース屋さんとか、マンションに強いパース屋さんとか、プレゼンに 強いパース屋さんとか、色々とその事務所の”強み”はあると思います。

そしてクライアントの好みもあると思いますので、それを無碍には出来ませんが、やはり一戸建ては”温かみ”も大事に考えて行きたいと思いますね。

という事で、一戸建ては一戸建てになれたパース屋さんに発注したほうが良いと思います。在来工法や2×4、S造やRCもろくに分からず描いているパース屋さんと、きっちり分かっているパース屋さんでは最終的な割安感は後者に出ます。

そして一番は建売戸建の予算の少なさに加え、手数の多さはマンションのパースに慣れたパース屋さんからしたら異次元です(笑)・・・そして納期の短さもかなり違います。それぐらい建売戸建で採算を合わせたり、納期に間に合わすのは難しいという事です^-^

パースの価格の決め方のイメージ画像

建築CGパースの価格の決め方。・・格安?激安?

建築CGパースを発注する方などでも、いったい幾らなの?・・・この制作会社では○○円、あの制作会社では○○円・・・この会社は低価格?格安?激安?この会社は高い?・・・・と、価格に関して疑問に思う方々も多いと思います

そして発注側からしたら、少しでも安く、少しでも良い作品を仕上げてもらいたいと思うのは当然の事です

以前・・・と言っても10年以上前ですが、お見積りで12万と伝えたら、なんで12万なの?・・10万じゃダメなの?・・・と言われた事があります。。。まあ、その時も価格の決め方を簡単には説明したが、分からない方の為に少し価格の決め方について書いてみようかと思います。

まずは「高すぎる」という建築CGパース制作会社は今時はないと思います。・・・そんな価格ではお仕事はもらえないので、すでに淘汰されていることでしょう
以前は要領が悪くて他の建築CGパース事務所よりも割高な会社もあったとは思いますが、さすがに今はそういう会社は無いと思います。

で、価格の決め方ですが、ほとんどの建築CGパース制作会社での値付けは「人工」だと思います。

人工:一人の”プロの”クリエイターが一日労働(作業)するとしての単価。

つまり、一人で何日かかるかで値段が決まります。だいたい今はどのパース制作会社でも一人工25000円~4万円ぐらいじゃないでしょうか?・・・時間にして1時間約4千円ぐらいですかね。。

なぜ人工にバラつきが出るのかといいますと、その案件の難易度や仕上がりの要求度に関係があります。例えば構造説明用のパースですと、構造の知識がある程度あるクリエイターでないと対応できません。木造住宅ですと根太や大引きや胴差し、垂木、母屋などの専門用語がわからないと設計者と電話で話しも通じません。パースクリエイター全員がそういう知識がある訳ではありませんので、そういう知識がある程度必要な案件の人工は上げざるを得ません。平均的な”プロの”クリエイターの時間で計算しますので、構造まで把握しているクリエイターは”特殊”という感じで計算します。また、リアルなものや手描き風なものもパースクリエイター全員が手慣れている訳ではありませんので、それも平均的なプロのクリエイターの時間で計算します。そして手慣れたクリエイターが作業をすると、その人個人の人工は上がる(給料が高くなる)という事になります。逆を言えば、平均的なプロのクリエイターより作業が遅いクリエイターの個人の人工は勿論下がりますので給料は減りますが。。今の話はクリエイター個人の給料の話ですが、クリエイターの給料と受注できる金額は密接で、手馴れたクリエイターが多い事務所が安く、手馴れていないクリエイターが多い事務所ほうが高くなるという事です。それで価格にバラつきが出るという感じです。もちろん慣れているという事は作業の改良・改善を日々しているという事ですので、効率が良い訳です。

要訳すると、販売広告のマンションに慣れているパース屋さんはそれが安く、しかも作品も良い。建売の一戸建てに慣れているパース屋さんは、やはりそれが安く作品も良い。プレゼンのパースに慣れているパース屋さんは、やはりそれが安く作品も良い。と言った感じでしょうか。勿論パース自体に慣れているパース屋さんは、パース自体が安く作品も良いという感じです。しかもクリエイターの給料も良くなります^-^・・・それが理想ですが、初心者はどの制作会社もいますから、色々と事情はあると思います。
設計事務所を見てもその事務所の強みみたいなものがあると思いますが、それと同じでしょうか。

見積の場合、仮に平均して1日3万円だとして、平均的なプロのクリエイターが3日かかる仕事であれば「3万円×3日=9万円」という感じになります。

実際のところ、修正もあると実質人工が合わない場合が出てきます。ですので、修正が多そうな案件は、あらかじめおおよその修正時間を見積もっておく場合が普通だと思います。価格を安く受注してもらった場合は変更は追加料金を請求される場合もありますが、あらかじめ見ていた修正時間内でできそうな軽微なものであれば無料でしょう。

ちなみに、よく「パースいくら?」とか「マンションいくら?」「一戸建ていくら?」というクライアント様がいますが、アバウトで状況が分からなければ、高めに見積る事になるでしょうね^_^;・・・思ってたより時間がかかるなんて事になったら、受注しなければ良かったなんて事にもなりますし。。

例えば「一戸建ていくら?」と聞かれ、「○○円です」と通常の建売を想定して答えたら、3億ぐらいする高級一戸建てで手間がかなりかかる物件だったりしたら赤字になりますから(汗)・・見積を頼む場合は詳細を伝えましょう^-^

考え方は人工ですので、簡素な仕上げで要望も少なく、修正もなければ時間もかからないので、割安な価格で見積が出てくると思います。

時間がかからなければ安く出来るので、やはりタイムイズマネーですね。

あと、我々建築パース制作会社は、昔から歩合で給料計算している会社が多い職種なので、値切るとクリエイターの給料にも直接関わると思います。値切ると実はクリエイター自身も心の中で「給料が減る」と焦ってるなんて事も多々あるんですよ・・・・・クリエイター個人も金額が安ければ短時間で仕上げないと給料が減ります。で、値切られた場合はクリエイター自身の自助努力で効率を上げますが、もちろん限界もありますので、作品の”質”にも影響は出る場合が出てきてしまうという事です

思いっきり安くうたっている制作会社は、テクスチャー(素材)を少ない項目から選ばせたり、時間がかからないように資料を一括で提出を条件にしたり、作品の質を学生でも出来る程度にして、社内のダメ出しの時間短縮をしたりしています。。。それであればどのパース制作会社でも出来る訳ですから。。しかも最近は円安で、海外に外注している制作会社も安くは出来ないと思いますので。。。結局のところ、割安感のある制作会社はあるとは思いますが、格安・激安という制作会社は減ってしまったと思います。

余談ですが、人工にバラつきが出るのは、その案件の難易度や仕上がり要求度によるものばかりではなく、制作会社の体制や状況による場合もあります。

もちろん営業マンがいるパース制作会社のほうが「人工」は高く計算しなくてはならない場合も出てきます。。。営業マンの給料分も制作が稼ぎ出さないといけないので。。。しかし営業マンがいたほうが効率がいいような案件もありますので、一概には言えません。。難しいところです。

お付き合いしているパース制作会社の営業マンに伝えた事が、制作者に上手く伝わっていない制作会社は、効率良く機能していないので、正直割高な料金設定になっている可能性はあります

また、好立地で場所代が高いところに事務所を構えている会社は、勿論コストがかかりますので、金額が高くなる場合もあります。。。今時はインターネットを使って何処で作業をしても作品の”質”に影響はありませんので。。。坪数が小さめなら大丈夫かも知れませんが、明らかに建築CGパース制作業として好立地すぎて社内が広くて豪華な会社は割高かも知れません

しかしながら、本当の話、値崩れを起こしているような時期(全体的な案件が少ない時期)には相場よりも安く受けてくれるパース制作事務所は多いでしょう。。暇しているよりはよっぽどいいので。。

そのような状況があるので、逆に忙しい時期には単価が上がります。安い時があれば高い時もないと帳尻が合わないので(高くしない場合は忙しい時に頑張って仕事をして暇な時期の穴を埋めます)・・・ですので昔は毎回見積もりをする会社が多かったのです(もっと昔は見積もしませんでしたが・・寿司屋と同じく時価でした。※ちなみに私はパース業は30年を超えました^-^)。。。暇そうな時にあまりにも値引く金額が大きい会社は、忙しい時は高くなる場合もあるので、頭に入れておいたほうがいいでしょう(これは営業マンがいる会社に多いと思います。営業マンが交渉しますので)。。これは事実

あと、暇な時期で値崩れを起こしている時に値切り過ぎると、仕事が忙しくなってきた時には“お断り”される場合もあります。パース屋さんに逃げられたという話しは昔からよく聞きますので、永いお付き合いを考える場合はあまり欲をかかずに”値切り”はほどほどにすることをお薦めします(パース代金を値切るという事は、社員に置き換えると給料を値切るのと同じですから。。給料を値切って良い仕事をさせようとすれば、普通の社員であれば当然辞めますよね。。)

最近も簡単に作業時間が把握できないような案件は見積もりからになるでしょうが、建売の一戸建てなど毎回だいたい同じような制作時間になりそうな案件は、昔よりは価格表を出している会社も増えたと思います。(直近のような、増税やら物価も高くなったり為替やら賃料やらも変わり易い環境の時代は、見積もりからの案件は増えてくるかも知れませんね。。)

あと、最近もまだあるかも知れませんが、以前は若い新卒者などを雇い、深夜残業や徹夜作業をさせて人工の帳尻を合わせている会社もありました(噂で聞きました)。。1日7時間計算で1人工と数えるか、1日14時間で1人工と数えるかでは、2倍の差が出ますから・・・実質的な価格が半額でも計算上は可能にはなるんでしょうし、安い金額なら発注もしてもらい易いので。。。
※弊社も昔は仕事が終わらない時や、急な修正などがあった場合、徹夜作業をしていた時代はありますが、そういう事ではなく、慢性的にそういう体制にして安く見積もって仕事を確保しようとする会社の話です。。

しかし人工計算は一人前のクリエイターの1日の作業からの計算ですから。。まだ作業のおぼつかない新人の1日の作業量と、10年選手の1日の作業量では当然何倍もの差が出ます。なおかつ仕上がりの良さは時間に計算出来ない差が出るんです。。。ベテランの料理人がキャベツの千切りを30秒で奇麗にこなすのに対して、新米の料理人は3分もかけてイマイチな千切りをするような感じでしょうか。。

結局のところ「絵」ですから・・・絵を素早く上手く描けるクリエイターもいれば、一生懸命時間をかけても上手く描けないクリエイターもいます。。そのクリエイターの腕次第のところも大きいかと思います

ちなみに大きいCGパース制作会社ですと、どうしても不慣れな人材はいますので、新規のクライアントにはベテランが作業をし、少し信用が取れてきたら新米に作業を交代するというのはよくある話です。同じ営業マンが対応すればクライアントには気づかれずらいのでね。。これは本当

新人にとっては少しでも早く仕上げ(フィニッシュ)までやりたいでしょうが、クライアントからすれば、『練習は他でやってくれ!』って感じですからね。。
※ちなみに弊社は、早くても未経験なら入社3年以上のクリエイター、経験者であればそれに匹敵する経験のあるクリエイターしか通常のCGパースの仕上げはしません。(低価格版は除く)

・・・ですので通常は、発注する側が作品の出来(品質)を見抜く目がないと、割安なのか割高なのかの判断はつかないと思います。。発注し慣れるのが一番なんでしょうか??

私が思うには、いいパース屋を探すには、ラーメン屋を探すのと同じで、自分好みの「絵」を割安で提供してくれる制作会社を地道に探すのが一番いいと思います^-^

・・・ちなみに弊社の見積は、決して儲けたいのではなく、赤字を出したくないといった感じでしょうか・・クリエイターに給料を支払うからには、赤字を出したら黒字幅を多くしなければいけない案件も出てきます。。その物件は割高になる訳ですから。。どの得意先の案件も平等に割安感を出すには、どの案件も赤字を出さないようにする事は一番重要だとも思います

他の建築CGパース制作会社さんとのお付き合いでも、安く見積もりをしてもらい、いい仕事をしてもらいたい案件の場合は、なるべく時間がかからないように段取りなどを協力するというのもいいのかも知れません。。。ちなみに弊社では、毎回の仕事の流れが手慣れてきて、やり取りなどの効率も良くなってきた(時間がかからない)得意先には、自ら価格を値引いています。。。。もちろんいくつかの条件が重なっている得意先の場合ですが

長々と書いてしまいましたが、弊社への見積もり依頼でなくとも、建築CGパース制作の見積の出し方を知っておくのも何かの役にたつと思います・・・という事で、少しでも参考になれば幸いです

追記:最近一戸建てのお問い合わせも増えましたが、一戸建ての新規問い合わせや御見積の場合は、図面一式(平面図・立面図・区画図か配置図・外構図)を頂けますと助かります。外構図に関しましては一戸建ては外構図が一番最後になる場合もありますので、場合によっては無くても見積もれますが、凝ったものか、土間コンと砂利と機能門柱程度かなどの具体的な情報が頂けますと助かります。またこんな感じのパースというような希望するパースの画像も頂けますと話しが早いです。
※人物を入れるだけでも作業は1時間はかかります。(人物も添景の一部だろ!という方もいましたが見積金額は変わります)
※かなり作品の要求度が高く、なおかつかなり低価格を求められる場合はご期待に添えない場合もございます。
※弊社では、諸事情により御見積自体を「辞退」する場合もございます。

・・最近は数百円値切られる事もあります。そんなことはせず、お互い気持ちよく仕事をしたほうがいいのでは?と思う時も多々あります。。世知辛い世の中になりましたねぇ

更新:2019/12/13